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G7サミットとホテルの屋根

ケベック州シャルルボア

更新間隔がだいぶ空いてしまったのだが、以前このブログで、ケベック・シティの「シャトー・フロンテナック」の屋根の話をした時、また別のホテルの屋根の話をしたいと予告していた。にもかかわらず、忙しさにかまけてブログをほったらかしにしていたことを今は深く反省している。さて、ケベック・シティからずっと東に行くと、「ル・マノア・リシュリュー」という、やはりお城のようなホテルがある。このホテルでは2018年に主要国首脳会議=G7サミットが開かれている。そして僕は、この豪華ホテルの屋根に登ったことがあるのだ。

別に登りたくて登ったわけではない。何しろ僕はひどい高所恐怖症だ。にもかかわらず、ホテルの担当者に、屋根から見る朝日は本当にきれいだからと強く撮影を勧められたのだ。僕はあからさまに消極的な姿勢を見せたのだが「大丈夫、安全だ」と言われてハーネスをつけ、「囚われの身」みたいな感じで屋根に登った。実はもう1つ、僕が消極的だったのは天気が悪かったからだ。恐怖に耐えて屋根に登っても、朝日が見えなければ意味がないじゃないか、とひどく真っ当な主張をしたのだが、「まあまあ、晴れるかもしれないし」みたいな感じで押し切られてしまった。

セントローレンス川を目の前にしたこのホテルは、周囲の景色が本当に美しい。かつては海運会社の経営だったそうで、アメリカから船でセレブたちがこのホテルにやって来たと聞いた。とにかくG7サミットの会場に選ばれるぐらい豪華なホテルで、カジノだってある(やらなかったけれど)。海に打ち下ろすようなゴルフコースは本当にすばらしい風景で、それがまた人気の理由なのだという(やらなかったけれど)。

カジノもゴルフもやらなかったけれど、その代わり絶品の料はたっぷり堪能させてもらった。ステーキとか、僕の好きなハリバットとか、デザートとか、もちろんワインも。「ル・マノア・リシュリュー」があるシャルルボアというエリアは、まだ日本ではあまり知られていないけれど、農家をめぐって歩くアグリ・ツーリズムをやっていたりと、とにかく「食」に関しては天下一品なのだ。

屋根の上の話に戻りたい。極上のディナーから一夜明け、まだ暗いうちから屋根に登った。持っていた服を総動員して重ね着をしていたのだが、天気が悪いせいもあってなかなかの寒さだ。そしてもちろん、朝日を見ることはできなかった。しかし今、「ル・マノア・リシュリュー」での滞在を振り返ると、絶品の料理とともに屋根の上での時間ばかりが思い出される。それにG7サミットの会場の屋根に登るなんて、得難い体験であることは間違いない。だからいい思い出だとも言えるのだが、あの時ホテルの担当者が「うーん、残念だったね」的な発言をしたことだけは、思い出すたびに僕を少々イラッとさせるのだ。

カナダのオイスターが食べたい

 

 

しあわせ写真

豪華ホテル「ル・マノア・リシュリュー」の屋根

こんな状態で屋根の上に座り朝日を待った。もちろん、天気が悪かったので何も見えなかった。丸まった自分の背中が、ひどく寂しげに見える。