旅の物語

「TSUNAGARI(ツナガリ)旅」に出よう

第17回 あすは楮(こうぞ)を蒸してはぐ

高知、そしてカナダ

〔写真:高知の旅で僕のお気に入りになった松岡かまぼこ店の「大天」〕
めったに見られない楮(こうぞ)の刈り取り作業に続き、明日の朝は、その楮の枝を蒸して皮をはぐところも見せていただけることになった。なんと貴重な体験だろうか。このご厚意に応えるためにも、これからの土佐和紙、そして和紙の世界全体が少しでも元気になるよう原稿を通じて貢献したい。本当に極めて微力ではあるけれど。

〔写真:カツオのたたきとくれば生ニンニクのスライスなのだ〕
でまあ、楮の刈り取りというめったに見られない場面に立ち会えた興奮を胸に秘めつつ、やっぱり夜の高知の街をぶらぶらしてみた。カツオのたたきは飽きないというか、ずっと食べていたいというか。カツオのたたきは生ニンニクのスライスに限る、と僕も思うようになった。県民そろってニンニク臭いなら、それはそれでもうとやかく言うことではない。素直に仲間入りさせていただけばいいのだ。

〔写真:初めて食べたウツボの唐揚げ〕
高知はウツボも名物なのだそうだ。そう聞いて食べないわけにはいかない。たたきでも食べるそうだが、カツオがたたきだったで、ウツボは唐揚げでいただくことにした。身もおいしいけれど、皮のあたりのゼラチン質のむにょむにょ感もまたたまらない。

〔写真:松岡かまぼこ店の店頭。おいそうなものがズラリと並んでいた〕
生ニンニクと食べるカツオやウツボの唐揚げは、東京でも高知料理の店でなら食べられるだろうが、庶民の味となると難しいはずだ。高知市中心部、帯屋町というところにある「松岡かまぼこ店」は地元の人が愛する店なのだそうだ。ここのかまぼこはみんな手作り。このページのトップ写真「大天(だいてん)」という真ん中にゴボウが入った揚げ物を買って、温かいうちにとその場で頬張った。実にうまい。「たまらんな」の一言に尽きる。

〔写真:あの土佐ジローの卵が入ったかまぼこ〕
旅先では、観光客向けの店だけではなく、庶民の味にもぜひ触れておきたい。実は東京に戻る際、高知龍馬空港にこの「松岡かまぼこ店」のお店があったので、お土産にと土佐ジローの卵がまるまる入った巨大なかまぼこ「大丸(だいまる)」も購入した。とんでもなく「ハレの日」的な雰囲気をまとった豪華なかまぼこだ。それにしても高知はおいしい。ぜひ多くの人に高知を訪れてほしい。コロナのために人が移動できなくなったことで、多くの人が痛手を被った。やはり人が移動しあうことはみんなにとって大切なのだ。
〔続きを読む〕第18回 イヌイット版画

しあわせ写真

松岡かまぼこ店の「大天」

真ん中にゴボウが入った揚げもの「大天(だいてん)」。松岡かまぼこ店の一番人気だという。ぜひ、温かいうちにパクリとやりたい。そのままで何もつけなくていい。可能であればもう一方の手にビールがあるとさらにいいのだが、それは「ないものねだり」というやつだろう。