旅の物語

「TSUNAGARI(ツナガリ)旅」に出よう

第4回 坂のある町

函館、そしてカナダ

〔写真:函館の中でも指折りのビューポイント「八幡坂」〕
函館は坂の街だ。どうしてこんなに道幅があるんだろうと思うぐらい、広くて真っすぐな坂道が何本も函館湾へと下っていく。日和坂(ひよりざか)、基坂(もといざか)、船見坂(ふなみざか)などなど。例えば二十間坂(にじゅっけんざか)は幅が二十間(約36メートル)もあるからその名がついた。

〔写真:函館の観光マップ。幅が広くて真っすぐな坂がたくさんある〕
明治のころ、大火が相次いだため、
火が燃え広がるのを防ぐ目的で函館の坂は広くて真っすぐに作り変えられた。徳川幕府も火事の多かった江戸の街に火除地(ひよけち)を設けているから、古くからある知恵なのだろう。例えば東京の「上野広小路(ひろこうじ)」も、同じような目的で拡幅された広い道(路)なのだという。

〔写真:近所の店には「グリーン」はなかったので違うチャーミーの写真を撮って来た〕
開放感ある見晴らしのいい坂道は函館を代表する観光名所だ。中でも人気なのが八幡坂(はちまんざか)。「チャーミーグリーンの坂」とも呼ばれている。かつて食器用洗剤のCM撮影がここで行われた。ある世代より上の人なら間違いなく
この歌を歌えるだろう。
♪♪♪ チャーミーグリーンを使うと手をつなぎたくなる ♪♪♪

〔写真:夏の八幡坂〕
手に優しいから手荒れがしない、すると手もつなぎたくなるということで、若いご夫婦が踊るようにスキップして坂を下っていくCMだった。黒船に乗ったペリーがやって来て伊豆の下田と函館が開港され、急速に発展した函館の街を火事から守ろうと坂は広くて真っすぐになった。そうやってもう一度八幡坂を眺めてみると、函館の歩んできた歴史や人々の息遣いすら感じられるように思えてくる。

〔写真:八幡坂からは函館湾に浮かぶ摩周丸が見える〕
真っすぐ下っていく八幡坂の先には白い船体が見える。かつて青森と函館の間を航行していた青函連絡船の1隻「摩周丸(ましゅうまる)」だ。その歴史を伝えるため湾内に係留され、今は「青函連絡船記念館」としての役目を果たしている。青函連絡船は人を運ぶだけでなく、本州と北海道を結ぶ物流の大動脈でもあった。函館は北海道を本州と結ぶ「TSUNAGARI(ツナガリ)」の港なのだ。
⇒〔続きを読む〕第5回 列車を運ぶ船

 

しあわせ写真

八幡坂

函館の中でも屈指のビューポイント「八幡坂(はちまんざか)」。函館湾に向かってまっすぐ下っていく幅の広い坂道は、映画のロケ地などとしても人気だ。