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カナダには国立の人権博物館がある

マニトバ州ウィニペグ

カナダのちょうど真ん中、マニトバ州にウィニペグという街がある。日本ではほとんど知られていないであろう街なのだが、ここはマニトバ州の州都であり、カナダの歴史において大きな意味を持つ街なのだ。カナダは誰もが知る移民の国だ。世界中からさまざまな言語、宗教、音楽、踊りなどを抱えた人たちがやって来て、できた国だ。

その中にあって、ウィニペグは1つの結節点のような街なのだ。新天地を求め、大西洋を渡ってヨーロッパからやって来た人たちは、船でケベック・シティやモントリオールまで来たあと、列車に乗り換えて最後にこのウィニペグ駅に到着したという。彼らが乗った列車はまさに、「移民列車」と呼ばれた。いったい何日、いや何カ月、移動に費やしたのだろう。ウィニペグで列車を降りた移民たちは、さらに自らが根をおろすべき土地を求めて広大な大平原を移動し、やがて荒れ地を耕し始める。だから今、マニトバ州をはじめカナダの真ん中あたりには広大な小麦や菜種の畑が広がっている。その起点となったのがウィニペグなのだ。

そんなウィニペグには、世界でもここにしかないであろう、国立の人権博物館がある。建物は、平和の象徴である鳩が両方の翼で何かを抱きかかえるかのような姿をしている。館内では、世界中の「ありとあらゆる」と言っていい人権に関する展示を見ることができる。人種による差別、性別による差別、先住民に対する差別、などなど。何日かけてもすべてを見ることができないほど、人類がこれまで何をしてきたか、を考えさせられる展示が集められている。

新型コロナウイルスによって、どうも差別とか対立とか分断とか、そんな動きが強まっているような気がしてならない。でも、人は歴史から学ぶことができるはずだ。そして、旅をすることによって知らなかったことを知り、理解を深め、差別や対立や分断を乗り越えるきっかけをつかむことができるのだと思う。もちろんカナダのすべてがうまくいっているわけではないけれど、それでも正面から逃げずに「人権」に向き合っているように僕には思える。こんな時代だからこそ、カナダに行く意味があるはずだ。ウィニペグの人権博物館で何日も何日も、ゆったりした時間を過ごしてみたいと思う。やはり人は旅をして、人と出会い、触れ合い、互いを知るべきなのだ。

サーモンを語りつくしたい

 

しあわせ写真

ウィニペグにある国立人権博物館

マニトバ州の州都、ウィニペグにある国立人権博物館。圧倒されるほどの収蔵物や展示の数々。何日いても、見尽くすことなどできない場所なのだ。