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サーモンを語りつくしたい

ブリティッシュコロンビア州

カナダでのサーモン取材をきっかけに、僕はサーモンに異常とも言える関心を抱くようになった。サーモンについてはこれまで本で書いたり講演をしたりと、とにかく何度も同じネタを使い回してきたのだが、このブログでもやはりサーモンについて語りつくしたいと思う。もちろん1回では無理なので、何度もサーモンの話が登場することになるが、まずは奥深いサーモンの世界のほんの一端を紹介したい。例えばカナダで食べた写真のようなサーモンのお寿司や刺身。これ、みんな天然ものなのだ。一方、日本の回転寿司のサーモンとか、スーパーで売っているサーモンの刺身は基本的に養殖もの。しかも、ほとんどが輸入もののはずだ。

実は日本列島で捕れるサーモン=サケは、北海道を除けばシロザケという1種類しかいない。昔から鮭の切り身とか塩鮭とか新巻鮭として食べられ、「サケ」「鮭」「シャケ」などと呼ばれてきたのはシロザケだ。ほかに種類がなかったから、単に「サケ」「鮭」「シャケ」と呼んでいても困らなかった。しかしカナダでは6種類ものサーモンが川を遡上する。太平洋側に5種類、大西洋側には名前の通りアトランティックサーモンがいる。だからカナダではいろいろな種類のサーモン、しかも天然のサーモンを食べることができるのだ。

回転寿司のサーモンやスーパーで売っているサーモンの刺身は、たいてい「トラウトサーモン」か「アトランティックサーモン」で、養殖ものだ。トラウトサーモンとは、養殖用の「トラウト=マス・鱒」を海で育てたもの。だから「トラウト=マス・鱒」「サーモン=サケ・鮭」が合わさった、ちょっと考えると何とも不思議な名前で呼ばれている。

ところがカナダには、合計で6種類ものサーモンがいる。①チヌークサーモン(日本では「マスノスケ」「キングサーモン」と呼ばれる)②ソッカイサーモン(日本では「紅鮭=ベニザケ」。チリからの養殖・輸入ものや、アラスカやロシアからの天然・輸入ものなど)③コーホーサーモン(日本では「銀鮭=ギンザケ」。宮城県や鳥取県で養殖されている)④チャムサーモン(日本では「白鮭=シロザケ」。つまり天然の「鮭」「サケ」「シャケ」)⑤ピンクサーモン(日本では「カラフトマス」と呼ばれる)。これら5種類がカナダの太平洋側、ブリティッシュコロンビア州の川に遡上してくる。そして大西洋側には⑥アトランティックサーモン(タイセイヨウサケ)がいる。種類が違うから味も適した料理も違っていたりする。6種類もの天然サーモンは、カナダに行けば食べられる。しかし、カナダに行かないと食べられない。それは間違いのない事実なのだ。

「アンの島」がかなり好きだ

しあわせ写真

天然サーモンのお寿司

バンクーバーで味わった天然サーモンのお寿司。職人の技と最高のネタが組み合わされると、ここまでになるのか、と思い知らされた。