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ケベックの城の屋根

ケベックシティ

前回、ケベックシティのホテル「シャトー・フロンテナック」の話を書いた時、ふと思い出したことがあった。で、早速部屋の中を探してみると、あったあった。緑色をした名刺大の銅板が1枚出てきた。僕が取材させてもらった時、歴史あるこのホテルは一部が改修中で、その際に取り外された銅ぶき屋根をプレゼントしてもらっていたのだ。

ホテルの開業は1893年。カナダに大陸横断鉄道を建設したカナダ太平洋鉄道(CPR)が観光需要を喚起しようと、「シャトー」の名の通り、お城のような豪華ホテルをケベックシティに建設したのだ。だから当時を思わせるこんな衣装を着た女性がホテル内を案内してくれるツアーもあった。そして僕がもらった銅板も歴史という点では負けていない。なにしろ開業の30年ほどのち、1924年からこのホテルの屋根の上にあったそうで、ホテルの歴史を上から見つめて続けてきた銅板なのだ。

このホテルでは第二次世界大戦中、イギリスのチャーチル首相とアメリカのルーズベルト大統領が戦争での勝利に向けて極秘に戦略を協議している。「ケベック会談」と呼ばれる。ホテル内にあったこの写真の手前にはルーズベルトとチャーチルが、そして左後ろには「シャトー・フロンテナック」の建物が映っている。あの屋根の上に、僕が手にしている銅板が乗っていたのかと思うと、なんとも不思議な気持ちになってくる。

ちなみに、カナディアンロッキーの中心、バンフにもお城のようなホテルがある。「バンフ・スプリングス・ホテル」もやはりCPRが建設したホテルだ。今はいずれもフェアモントの経営になっている。「シャトー・フロンテナック」の歴史ある屋根の銅板も出てきたことだし、ちょっと思いついたことがあるので、次回もまた、カナダのホテルをめぐる話をご紹介したい。

G7サミットとホテルの屋根

 

 

しあわせ写真

「シャトー・フロンテナック」の屋根の銅板

ケベックシティの「シャトー・フロンテナック」を取材した際にプレゼントしてもらった屋根の銅板。存在自体を長く忘れていたのだが、これからは大切にしようと思う。