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プレーリーを走る列車

カナダ・マニトバ州

僕はカナダの中央に位置するマニトバ州で、予定通りなら36時間、結果的には40時間を要した鉄道の旅を経験したことがある。カナダのずっと北の方、ハドソン湾に近いギラム(Gillam)という駅から、マニトバの州都ウィニペグまでひたすら南下する旅。なかなか年季の入ったVIA鉄道の車両は、極北の地を出たあとプレーリーと呼ばれる大平原を走り続けた。

当然、列車の中で一泊するのだが、僕に与えられたのはありがたいことにイスが2つある、まあまあな広さの個室だった。夜になったら車掌さんみたいな人がやってきて、イスの背もたれを2つとも倒して平らにし、その上に天井からベッドを降ろしてくれる。これでベッドルームに早変わりだ。狭いけれど個室内にはトイレがあり、小さな洗面台もあり、天井には扇風機まで備え付けられていて、さながらコクピットのようで結構快適なのだ。

僕の部屋よりちょっと狭い、イスというか横幅の狭いソファーみたいなのが1つだけの個室もあって、ソファーの目の前にはポツンとトイレがある。こんなこと言っちゃ失礼だが独房みたいだ。この部屋の場合、ふたを降ろしたトイレの上にベッドを降ろしてきて、ソファーと一体となってベッドが形成される、という感じだ。目の前にトイレがある部屋というのはどうかと思うが、別に本当の独房でもないし、自由に部屋を出て、寝る時以外は食堂車や展望デッキで過ごせばいいだけの話だ。ああ、トイレのふたは、足を乗せる用なのかもしれない。

それにしてもカナダは広い。特にカナダの真ん中あたりにあるマニトバ州、サスカチュワン州、アルバータ州はまとめて「プレーリー3州」と呼ばれていて、どこまでも大平原が広がっている。僕は展望車からずっと外を眺めていたけれど、見えるのは空、林、小麦畑と黄色い菜種の畑。それだけだ。延々と同じ景色が続く。すると、黄色の畑を駆けていく鹿が見えた。懸命に走っている。そしてなんだか、すごくラッキーな気がしてきてニヤニヤしてしまった。どうやったってこの光景、日本では見ることができない。やっぱりカナダはいいなあ。

パフィンに会いたい

しあわせ写真

黄色い菜種の畑の中を行く鹿

カナダの中央部に広がる広大な大平原。そこには見渡す限り、小麦やキャノーラ油になる菜種の畑が続いている。僕は列車の中から偶然、黄色い畑の中を進んでいく鹿を見ることができた。