カナダの首都オタワでは「オバマ・クッキー」という名前のクッキーが売られている。オバマとはもちろん、バラク・オバマ前アメリカ大統領のことだ。２００９年、大統領だったオバマさんがオタワを訪れた際、バイワード・マーケットというところで「CANADA」と書かれた赤いクッキーを買った。以来、このクッキーは「オバマ・クッキー」と呼ばれることになったそうだ。

オバマさんはこのクッキーを気に入っただけでなく、カナダという国に対しても親近感を持っていたようで、だからなのだろう、カナダでもオバマさんは結構、人気があった。

店の前には「オバマ・クッキー売ってます」的な看板が立てられていて、自分でお金を出してクッキーを購入するオバマさんとか、店員との記念撮影に応じるオバマさんとか、来店時の楽し気な雰囲気が感じられる写真が飾られている。その中に、ひとりの女性といっしょに笑顔で歩くオバマさんの写真を見ることができる。

彼女の名前はミカエル・ジャン。カナダの第２７代総督だ。カナダという国の政治のトップは「首相」で、今はジャスティン・トルドーというイケメンが首相を務めている。一方で国家元首、大統領とか国王といった立場に当たるのはイギリスのエリザべス女王なのだ。ところが女王陛下は普段イギリスにいるので、カナダにはその代理を務める「総督」が置かれている。つまり、女王陛下の名代としてオバマ大統領を接遇をしたのがミカエル・ジャン総督だったのだ。

ミカエル・ジャンさんは独裁政権下のハイチから逃れてきた難民だった。そのことが持つ意味をよく考えてほしい。カナダでは、難民だった人が、黒人が、女性が、国家元首になれる。女王陛下の名代としてアメリカの大統領が来ればそのカウンターパートとしての役割を果たす。カナダとはそんな国なのだ。一方の日本は、という話はあまりしたくはないけれど、カナダがいろいろなことを教えてくれる国であることは間違いないだろう。ちなみにこの写真は、イケメンのトルドー首相が描かれたクッキーだ。こんな便乗商法的なことがまかり通る「ゆるい」感じもまた、カナダの魅力なのだ。

「アンの島」がかなり好きだ・その２