旅の物語

カナダB級グルメの旅

プティーンはきょうも進化する

カナダ・ケベック州

プティーンはきょうも進化する =カナダB級グルメの旅 プティーン編(3)=

カナダの国家的B級グルメ、プティーン。その基本がフライドポテトにチーズカードにグレービーソースであることは既に書いた。しかし、そうやって生まれたプティーンはその後、とんでもない進化を遂げてきた。それを知ってもらうために、モントリオールで人気ナンバー1からナンバー3に選ばれたプティーンを紹介しようと思う。

ちなみに3つの店をすべて訪れ、それぞれのプティーンを実際に食べたのだから、なかなかハードな取材ではあった。はっきり言って、これだけ大量のプティーンを1日のうちに食べ尽くした日本人なんて他にいるんだろうか。

さて、モントリオールでナンバー1に選ばれたのは、このページのトップ写真の「レスト・ラ・バンクワーズ」というプティーン専門店。食事時でもないのに、ひっきりなしに新しいお客さんが店内に入ってくる。

最初の写真のプティーンは、トマトのトッピングの上にガカモーレというアボカドのソースと、サワークリームがたっぷりと盛られている。もちろんガツンとくる味なのだが、アボカドとサワークリームが不思議と全体をさわやかにまとめあげている。

次の写真は同じ店の「スリー・アミーゴズ」という名前のプティーンだ。ポークとビーフの3種類のソーセージ、つまりスリー・アミーゴズがゴロゴロッとプティーンの上に乗っかっていて、とんでもないボリューム感を実現している。このプティーンは本当にお腹いっぱいになった。

3番目の写真は、モントリオールで第2位にランクされた高級プティーン。プティーン専門店ではなく「オーピエード・ドゥ・コショーン」というレストランの有名シェフの手による高級プティーンだ。なにしろジャンキーというかファストフードというか、正真正銘のB級グルメのはずが、一番上に高級食材のフォアグラがトッピングされているのだ。

味はもう、とにかく濃厚。ただでさえ濃厚なプティーンに、これまた濃厚なフォアグラが濃厚さを加えてくる。口の中で揚げたてのポテトが「サクッ」と音を立て、フォアグラが「ムニュッ」とつぶやく。「サクッ」そして「ムニュッ」だ。

さて、ここで少しだけ脱線するのをお許しいただきたい。僕はこの「オーピエード・ドゥ・コショーン」で、もうひと品フォアグラ料理を堪能させていただいた。フォアグラ、プライドポテト、ベーコン、チェダーチーズ、そば粉のクレープ。僕ばかり食べていて申し訳ないが、やっぱりフォアグラっておいしいなあと再認識させられた。

話をもとに戻そう。モントリオールのプティーンで第3位に選ばれたのは、女子大生たちが深夜にプティーンを楽しんでいた、あの店だ。プティーン専門店「Frite Alors」は学生たちでいっぱい。夜になってもワイワイガヤガヤ、プティーンを食べてビールを飲んで、夜中までしゃべり続けるといった雰囲気の店だ。

さて、プティーンを好きなカナダ人は口を揃えてこう言っている。こんなに健康に悪いんだから、美味しいに決まってるーと。日本のラーメンだってそうだ。健康に悪いのは重々承知しているけれど、美味しいんだから「たまには」仕方がないのだ。

その「たまには」が「たまには」ではなくなってしまうのもまた、人間らしい。そしてプティーンをおいしそうに食べるカナダの人たちを見ているうちに、こんなふうに思えてくるのだ。カナダ人って本当に無邪気で、可愛げのある国民だなあ、と。

カナダの旅ではぜひ実際にプティーンを食べて、健康的でピュアなだけじゃない、不健康で自堕落で、だけど可愛げのあるカナダ人の素顔を見てほしいと思っている。

この記事は2014年ごろの取材に基づき、カナダシアターhttps://www.canada.jp/に掲載したものを一部、加筆・修正しています。

カナディアン・セラピー

しあわせ写真

プティーン専門店「レスト・ラ・バンクワーズ」

モントリオールでナンバー1に選ばれたプティーン専門店「レスト・ラ・バンクワーズ」。アボカドのプティーンなどが食べられるのだ。