深夜ようやくたどり着いたニューファンドランド島のセント・ジョンズ。しかし、泊まるはずだった歴史的建物の扉を開けることはできず、結局、別にホテルを確保してベッドに倒れこんだ。そして寝たと思ったらすぐに朝。日本からはるばるやって来てヘトヘトなのに、ほとんど睡眠時間が取れないまま取材に突入することになった。
ところが、寝不足や時差ボケをあっという間に忘れるぐらい、ニューファンドランド島の中心、そしてニューファンドランド&ラブラドール州の州都であるセント・ジョンズは素敵な街だった。
ここは「ジェリービーンズ・タウン」と呼ばれている。“Jelly Beans”の名の通り、お豆のような形をして口の中でやたらとくっつく、あのカラフルなお菓子、ジェリービーンズのような色合いの街なのだ。
そう言えば昨夜、ドアの横にあってカギが入っているはずだったあの郵便受けも、ジェリービーンズ・タウンの建物を模したものだった。
赤、ピンク、青、黄色、緑など、カラフルな家々が両側に並ぶ急な坂道が港まで下っていく。ここは漁業で暮らしてきた漁師の街だ。船で戻ってきた漁師が丘を見上げたとき、すぐに自分の家が分かるようカラフルなペンキで塗られるようになったそうだ。
しかもセント・ジョンズは、世界で最も霧の深い街としてギネスブックに登録されている。霧に包まれた漁師の家が、遠くからでも見えるようジェリービーンズのようになるのは当然のことなのだろう。
ギネスブックと言えば、世界一ではないものの、ここにはもう1つ誇るべきものがある。セント・ジョンズにあるジョージ・ストリートは、面積当たりのパブの数が北米一だ。なんと魅力的な街なのだろう。
ジェリービーンズのカラフルな街並み。世界で最も霧深く、パブがいっぱいのストリート。なんだかワクワクする話ばかりなのだが、一方でそうでもない話もある。なにしろニューファンドランドの漁師は「ニューフィー」と呼ばれ、ちょっと馬鹿にされているというか、学のないヤツらと思われているというか、まあそんな位置づけなのだ。しかし僕はニューファンドランドが大好きだ。そして僕はニューフィーの味方なのだ。ニューフィーに代わって勝手にニューファンドランドの魅力を日本中に発信したいとさえ思っているのだ。
※この記事は2018年の取材に基づき執筆しています。
⇒〔続きを読む〕第3回 ニューフィー・ジョーク
しあわせ写真
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ジェリービーンズ・タウン
セント・ジョンズのお土産屋さんで見つけたジェリービーンズ・タウンを模した郵便受けやグラス。持って帰れるものならこの郵便受けを購入しようかとも思ったが、そう時間を要せず断念した。それにしてもこれらのお土産、みんな実に愛らしいのだ。