僕は何度も取材でカナダを訪れているのだが、実はナイアガラの滝には行ったことがない。以前、カナダに詳しいジャーナリストという触れ込みで講演した際、何気なく「ナイアガラ、行ったことないんですよねえ」と口走ったら、客席のオジサンから「なんだ、行ったことねえのかよ」と思いっきり笑われたことがある。おかげでその講演は想定以上に盛り上がったし、以来この話は「ネタ」として使っているので、それはそれでいいのだが。
「そのうち行く機会もあるだろう」と思っていたら完全にタイミングを逸してしまい、そうこうしているうちに新型コロナウイルスのせいでカナダそのものに行けない状態に陥ってしまった。
しかし、すぐにとはいかないまでも、そのうち国境も開くだろうなあという雰囲気も出てきたし、なにしろ7月1日は記念すべき「カナダ・デー」だ。もしカナダに行けるようになったら真っ先にどこに行きたいかを考えた時、先送りし続けてきたナイアガラの滝が僕の頭に浮かんできた。
かつて、ジップ・ラインをやりませんかと誘っていただいたことがあるが、僕はひどい高所恐怖症なので丁重にお断りした。しかし、もしナイアガラに行けたら、滝の近くで空を飛ぶジップ・ラインもやってみたい。振り返ると、カナダでは高所恐怖症にもかかわらず熱気球に乗ったり、凍った滝を登ったり、崖から川に飛び込んだりと、結構いろんなことをやっている。だったらナイアガラまで行ってジップ・ラインを避けて通る理由もないな、などと思ったりする。ところで、ジップ・ラインの途中で気絶したりしたらどうなるんだろうか。
ナイアガラ地方は、BC州のオカナガンと並ぶワインの産地だ。カナダのワインは想像以上にレベルが高く、しかも日本ではなかなか出回らないので、カナダに行ったら飲めるだけ飲んでおくしかない。(※もちろん買って帰ればいいじゃないかと言われればそれまでなのだが)
とにかく、ナイアガラの滝でずぶ濡れになったあとは、オンタリオの絶品ワインにどっぷり浸かってみたい。もうずぶ濡れのビシャビシャだ。
そしてやっぱり、ナイアガラの滝を舞台に、誰も注目していなかった「カナダの謎」を掘り起こしてみたいと思う。きっと予想もしなかった「謎」が隠されていることだろう。それを自分の手で原稿にしたい。
しかし、こんなこと言ってるとかなりハードルが上がるなあ。大して「謎」がなかった時は、素直に謝ることとしよう。
旅の物語(シリーズ)を読む
⇒「メープルシロップ・ワンダーランド」
⇒「ケベック 謎解きの旅」
⇒「永遠のカヌー」
⇒「カナディアンロッキーを越えて」
しあわせ写真
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冬のナイアガラ
真冬のナイアガラもまた格別だそうだ。もちろん、遊覧船は動いてないだろうけれど、これはこれで一見の価値あり、なんだろうと思う。