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「観光の力」は計り知れない(1)

カナダ、日本、そして全世界

いろいろな仕事でご一緒させていただいているカナダ観光局日本地区代表の半藤将代さんが、「観光の力」という本を出版された。実は僕も多少、取材や原稿の面で応援させていただいたので手前味噌になってしまうのだが、そこを割り引いてもかなりメッセージ性に富んだいい本、そして今だから読むべき本になったと思っている。

冒頭の「はじめに」のタイトルは「観光の力」が傷んだ世界を救うとなっている。そして、ここで重要な記述は次の一文だと思う。
「観光には傷ついた地域と人を癒し、和解させ、再生させる力があることに気づかされた。観光にはさまざまな問題を解決し、地元の人と観光客の双方を幸せにするとてつもないパワーがあることを認識させられた。だから私はこの本のタイトルを『観光の力』としたのだ。」

新型コロナウイルスによって、カナダも日本も世界中の観光地が深い痛手を負ってしまった。カナダを旅したいという人はもちろん、現地のガイドさんや飲食、宿泊など観光という分野に関わる人たちは文字通り、顔では笑いながら歯を食いしばって旅行が再開される日を一日千秋の思いで待ち続けているのだと思う。

トンネルの出口はもうすぐだと思う。そして再開されれば観光地には再び経済的な恩恵が持たさられることだろう。しかし、コロナという世界的な悲劇を経験したあとの観光は、それ以前とは違った観光になってほしいと切に願うし、そうならざるを得ないと思う。なにしろコロナはおっかない。大人数でいきなり大挙してやってきて、飲み食いし、土産物を買い、去っていくような観光がまた始まったら誰もが不安になるはずだ。

だから、これから再開されるであろうカナダの旅は、旅するわれわれが心から地元の人に歓迎されるようなものにすべきだと思う。お金を落としてくれるから多少のことは我慢しないとな、と思わせるような観光は終わりにしないといけない。旅する人と地元の人がともに「観光っていいなあ」と思えるような観光。ちょっと手前味噌が過ぎるかなあ(笑)。でもこの本、結構いいこと書いてあるんだよなあ。
※写真はカナダ観光局からお借りしています。

旅の物語(シリーズ)を読む
「メープルシロップ・ワンダーランド」
「ケベック 謎解きの旅」
「永遠のカヌー」
「カナディアンロッキーを越えて」

 

 

 



 

しあわせ写真

「観光の力」(半藤将代著、日経ナショナルジオグラフィック社)

観光にはさまざまな問題を解決し、地元の人と観光客の双方を幸せにするとてつもないパワーがあるのだ。